「FusionPlace 1.0」をリリースして二週間弱。リリースまではソフトの品質チェックやWebサイトの準備に手一杯で、営業面の準備がほとんど出来ていなかったため、リリース後にバタバタしましたが、ようやく落ち着いてきました。この二週間、色々な方からご意見を頂きました。やはり、実際にモノ(ソフト)があると具体的なお話をお伺い出来るのが素晴らしい。正月休みに今後の方向性をゆっくりと考えてみたいと思います。
なにより嬉しいのは、私が伺った範囲内でも、すでにプロトタイプを作って FusionPlace を評価し、本格導入に向けてご検討下さっているお客様がいらっしゃることです。正直言って、当社のような零細な会社が出した、実績もないソフトウェアを使うことに、ためらいのない筈がありません。こうしたお客様の信頼に応えることが、当社の事業の基礎になるのだと思います。
私の知らないところでご検討下さっているお客様もいらっしゃるかもしれません。どうか、気軽にご連絡・ご相談下さい。
ところで、リリース後に頂いたご質問の中に、「こんなに安くて大丈夫なの?」というものがあります。そのバリエーションとして、「1人1か月4,800円(税抜)はわかったけど、最初には(それ以外に)いくら払えばいいの?」というのもありました(「保守料」と勘違いしていらっしゃったわけです)。今日はこの質問にお答えしておこうと思います。
この価格が世間的に見て安いのか高いのかは判断の分かれるところですが、ビジネスインテリジェンス(BI)の分野では、これよりずっと高価なツールが多々あり、しかもメジャーな地位を占めているということもまた事実です。それらと比較した場合、FusionPlace は「安かろう、悪かろう」の製品なのでしょうか。
当社の答えは、明確に「ノー」です。それらの製品が普通備えているが、FusionPlaceには備わっていない機能が、たしかにあります。しかし反対に、FusionPlaceは備えているが、他の製品は備えていないか、備えていても追加的な支出が要求される機能もあります。機能に関するこれらの違いは、ソフトウェアの「格」の違いではなく、対象業務をどう捉えるか、という業務観の違いによるものなのだ、というのが当社の主張です。
例えば、私が知っている限りでも、いくつかの企業では、予算管理のために、BIツールを使って多次元データベースのデータを参照し...というところまでは良いのですが、そのデータをExcelシートに貼り付けてから、Excelを用いて手作業でデータを切ったり貼ったりして報告資料を作っていらっしゃいます。こんなことを聞けば、なんのためにBIツール使ってるんだ...とお思いになるかもしれません。でもこれは、ユーザが間違っているのではなくて、BIツールの側の設計思想が、ちょっと「外している」と私は思うのです。
計数管理の報告資料というものは、定型のようで定型ではありません。予算・実績・達成率と並べたら、その右には未達成理由を書かなければいけません。売上高のうち「主要製品」分だけは内書きしないとならないかもしれません。しかも今月から。
ですから、本当に計数管理業務を効率化しようとすれば、元データから報告用のExcel資料まで、エンド・トゥ・エンドで繋がなければならないのです。そしてまた、「元データ」に含まれないデータは簡単に補足入力できなければならないのです。そう考えたために、FusionPlace では、きれいなグラフ表示機能ではなく、Excelとの連携を、双方向に極力容易に行えるようにすることや(Excel-Link) 、リアルタイムで更新/集計できる多次元キューブに力を注いだわけです(いずれにせよ、グラフはExcelで表示することができます)。
そうなると、それだけの機能を備えて、本当にこの値段でやっていけるのかと言う点に、疑問は移るかと思います。これに対する答えは二つあります。つまり分母からの答えと分子からの答えです。ご承知のように、ソフトウェアの原価は、開発総費用を出荷本数で割ったものです。ですから、出荷本数が多ければ単価を下げることができます。
従来のBIソフトは、主に大企業の本社の経理部門や企画部門を主なターゲットとしています。しかし、実際にExcelで計数管理を行っているのはこれらの部門に限られません。中堅企業でも計数管理は必要ですし、大企業でも、本社以外の個々の事業部門でも計数管理は行われています。工場では生産管理部門がQCDに関する計数管理を行っています。現在、これらの業務領域は、「Excel無法地帯」となっています。「Excelレガシー」の巣窟です。
従来のBIソフトは、導入コストの高さ・システムの複雑さ・(上述したような)要件不適合、といった要因で、この領域をカバーできていません。でも、お客様はここにいらっしゃるのです。ここが FusionPlace の舞台です。もちろん、大企業の本社部門は重要なお客様ですが、それに加えてこの広大な領域が FusionPlace の視野に入っているのです。また、ソフトウェアの一般法則として、広く使われるソフトほど、機能は使いやすく、洗練されてきます。したがって、ユーザ層が広がることは本社部門にとってもメリットとなると考えています。
分子である開発コストについて言えば、少なくとも今までは低廉でした。今後について言えば、人間が行う仕事である限り、一人当たり生産性(一ヶ月に書くプログラム行数など)が劇的に高いという状態を長期的に維持することは困難と考えています。当社が狙うのはそうではなく「フォーカスすること」です。高価なBIツールやERPの導入をご経験されたかたはご存じと思いますが、これらのソフトウェアには「セールス時のデモンストレーションでは人目を引くが、実際の業務の場面では、どう使えば良いのか、当惑する機能」が多々あります(全部が全部そうではないことは勿論ですが)。当社はそうした機能を避けます。また、開発者が対象業務に習熟するよう仕組み作りをしていきます。これによってコミュニケーションギャップが減り、無駄な機能を作らずに済むと考えるからです。良いものを作る上で試行錯誤は必須ですが、それは、目隠しして鉄砲を撃つこととは違うと思うのです。
好きなことを書きましたが、まだまだ、序の口です。まだ水面上に出ていません。じっくり耐えて頑張って行こうと思います。応援の程、よろしくお願い申し上げます。