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会計×IT の深層へ

ウォーターマーク・アプリケーションズの製品

最近はコンサルティングの仕事が忙しくてそっちにかまけがちだが、ウォーターマーク・アプリケーションズ(僕の一人会社)は、会計系のアプリケーションパッケージソフトウェアを開発する会社でもある。


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会計系といっても取引処理ではなく、たとえば各部署から予算データを集めて全社予算を組み立てるとか、子会社の財務諸表を集めて連結経営管理をするといった用途を対象としている。
基本機能は、「配って」「集めて」「加工して」「公開する」だ。
最近の言葉ではCPM(Corporate Performance Management)とか、EPM(Enterprise Performance Management)と呼ばれる領域である。
"Performance Management"という表現は誇大な感じがするし、少し管理会計に偏った印象を与えるので、僕は "Planning & Reporting"と呼ぶ方が好きだ。
つい最近まで、会計システム構築時には、取引処理の効率化に重点が置かれ、Planning & Reporting は視野の外に追いやられる傾向があった(永遠に実現されない「将来構想」扱いで)。
そのため、この領域ではいまだに手作業中心の業務が続いているのである。

他製品との比較でいうと、「公開する」に重きを置いているように見える製品が多いのに対して、我が社の製品はそれ以前のプロセス、すなわち「配って」「集めて」「加工して」に注力している。
この製品を導入すればバランストスコアカードとかダッシュボートみたいな格好いいインターフェースでばんばん経営情報を分析することができますよお、という感じの製品宣伝をよくみかけるが、僕自身が様々なお客様の業務を見せて頂いたかぎりでは、そんな分析以前の問題として、データをそもそもどうやって作ればよいのかが問題なんだ、という会社の方がふつうだったのである。
だから、きれいな見かけが必要ならそれは他社製品にお任せして、とにかく数字をきちんと作れるようにしましょうよ、というのが質実剛健な我が社のメッセージである。

製品は、オリジナルの多次元集計エンジンを核にして、画面帳票システム、ワークフロー管理システム、Excelインターフェースから成っている。
全体を覆う設計コンセプトは "Planning&Reporting業務に最適化された情報技術"だ。
例を挙げると、多次元集計エンジンは、勘定科目のフロー・バランス、借方・貸方を自動判別して適切な集計処理を行うし、物量・コメントといった金額以外の経営データも統一的に扱える。
画面帳票システムではP/L・B/Sのようなマトリックス型の帳票や入力画面を自由にさくっと作れて、計算式や入力チェックルールも必要に応じて指定できる。
業務に参加する各部門は、ワークフローによって相互に結合される一方で、自分自身のワークスペースを持ち、プライベートな領域でデータをいじって試行錯誤を行える。
Excelにデータを転送したければ、シートの各セルにどの勘定科目・部門、etcのデータを表示するのかを宣言的に指定すれば良い。煩雑なExcelマクロは不要になる。
Excelや画面上でデータを加工してその結果を多次元キューブに返すのも簡単だ。

言って見ればこれは、特定業務領域に特化したアプリケーションプラットフォームあるいはミドルウェアだ。
すべての業務領域でこのような概念が成り立つかどうかはわからないが、この領域ではこの行き方が正解と考えている。
アプリケーションシステム畑でずっと仕事をしてきた僕にとって、一つのアプリケーションを突き詰めると何が起きるかという問いかけでもある。

というわけで、後は作りきるだけだ。些細な事である(^-^)。