Hot Heart, Cool Mind.

会計×IT の深層へ

オフショア開発の是非の話について

「日本は人件費が高いので、人海戦術的なソフトウェア開発は海外で安く調達することにした方が得ですよ」 続・インド人がやった方が儲かることは、インド人にやらせればいいじゃん。 主張の根拠はリカード流の比較優位論。

技術と業務の狭間で

システムエンジニアは、技術と業務の両方わからなければいけないとか言われる。だけどその後に「両方やるのは、大変だけどね」と、付けたしがある。じゃあどうすればいいのと誰でも思うに決まっている。それでみんな、技術か業務どちらかを「選択」してしま…

ユーザーは、どのようにしてシステム仕様を検証できるのか?

なぜ顧客は受入テストで仕様変更に気がつけるのか? ただ、ここで最近の興味の対象となるのは、「なぜ顧客は仕様を分かっている(だからテストでは指摘ができる)のにそれを完全に正確に伝えられないのだろう?」というもの。言い換えると、「顧客は欲しいシ…

データモデル洗練テクニック-「スコープ概念の抽出」と「参照関係の逆転」

データモデルを設計するときに役立つかもしれないテクニックをひとつ。

主キーの設計⑥-数学をちょっとだけ(その3)

シリーズになってしまった「主キーの設計」も今回でようやく終わりだ。前々回ではリレーションに対する代替案として「リレーション関数」なる概念をひねり出した。前回はリレーション関数モデルの上で正規形と正規化を再定義した。今回はリレーション関数モ…

主キーの設計⑤-数学をちょっとだけ(その2)

前回に引き続いて数学である。前回は「リレーション」の代わりに「リレーション関数」を土台としてリレーショナルモデルを再構築できないか、という提案をした。そして「リレーション関数」の数学的定義を作ってみた。今回は、この新たな基礎の上に、正規化…

主キーの設計④-数学をちょっとだけ(その1)

主キー論争の分析その④である。 といっても、前のエントリーですでに、主キーの存在を抹殺したので、論争の焦点そのものが雲散霧消してしまった。今回は付け足しとして、数学の話をする。 この「主キーの設計」シリーズ、僕は近年稀に見る気合をいれて書いて…

主キーの設計③-いいとこ取りは可能か?

主キー論争の分析その③である。 前のエントリーでは、コード派とID派の意見の相違の源泉には、コッド博士が作り出した正規化の理論の取り扱いをどうするか、という問題が横たわっているという仮説を提示した。そして、正規化の理論には「エンティティ」の居…

主キーの設計②-正規化って何ですか?

主キー論争の分析その②である。前のエントリーでは、最終的にできあがるデータベースの形について検討した。僕の結論は、内部識別子(アソシエーションの実装用の識別子)としてIDを用いることについては、コード派もID派も同意できるのではないかというもの…

主キーの設計①

主キー論争(データベース設計で、どういうものをテーブルの主キーとすべきかという議論)が再燃しているようだ(こことかこことかこことかここ)。

SI業界と「逆選択の経済」

NATROMさんの日記経由bewaadさんのブログで「逆選択」という概念を知った。

コントロールデータの設計

EDPシステムの環境適応力を高めるために、ある種の情報をプログラムコードの中に埋め込むことを避け、設定ファイルやデータベース上に保存することがある。システムパラメータとかコントロールデータと呼ばれるものだ。

ウォーターマーク・アプリケーションズの製品

最近はコンサルティングの仕事が忙しくてそっちにかまけがちだが、ウォーターマーク・アプリケーションズ(僕の一人会社)は、会計系のアプリケーションパッケージソフトウェアを開発する会社でもある。 ==== 会計系といっても取引処理ではなく、たとえば各…

業務システムモデリング練習帳

渡辺幸三さんの新著「業務システムモデリング練習帳」を読んだ。渡辺さんの本はいつも、理論だけでなく具体的なサンプルシステムを示しながら書かれているのが素晴らしい。「リアリティへの執着」は、システム作りの掟の第一だ。 僕としては、第6章の「家計…

システム開発契約

以前勤務していた会社で、僕の所属するチームは、連結会計とか予算管理といった経営管理業務に特化した上で、要件定義からシステム開発・運用サポートまでのサービスを一貫して提供するというビジネスをしていた。コンサルティング会社の事業としては、すこ…

業務システムとオブジェクト指向

業務システムの設計・開発を職業とする人々の間で、オブジェクト指向はいまだに一般的なものと受け止められていないように思える。しかし実際にやってみると、オブジェクト指向は業務システムにうまく馴染むし、システムの品質とメンテナンス性の改善につな…

増減複式簿記の論文掲載

増減複式簿記についての論文が、「企業会計」誌5月号に掲載されました。 ==== タイトルは「増減複式簿記-キャッシュフロー時代に即した簿記の拡張」としています。 この論文掲載が、増減複式簿記というコンセプトに少しでも多くの方が目を向けていただく機…

仕訳と元帳の関係

仕訳と元帳の関係など、あらためて考えてみようという気にならないかもしれないが、ちょっと簿記教科書流の思考をはなれてシステム視点から眺めてみると、意外に興味深いことも隠されている。 ==== 仕訳-元帳システムはいくつかの視点で分類できる。今回、…

「仮置き」のススメ

業務の見直しやシステム構築には非常に多くの要素が係ってくるので、そうした試みは、しばしば連立方程式の様相を呈してくる。部門間の役割分担を決めようとするとEDPシステムの機能を決めなければならず、EDPシステムの機能を決めようとすると役割分担の不…

山頭火

分け入っても分け入っても青い山 山頭火のこの句を初めて読んだのはいつのことだったか。いつのまにかひっそりと、心の隅に根づいてしまった。 分け入っても分け入ってもと読むとき、心の奥深いところにある不安と戸惑いが共振する。しかし、分け入った先は…

二種類の実務知識

仕事をする上ではさまざまな実務知識が必要になるが、そうした知識には二つの異なるカテゴリーのものが含まれている。

年頭にあたって

コンサルティング会社を辞めてそろそろ二年半になる。その間、依頼を頂いた時にはコンサルティングの仕事をしながらも、念願どおり、パッケージソフトウェアの開発に相当の時間を割くことができた。

真剣と深刻

「真剣」と言い、「深刻」という。 英語ではどちらも「シリアス」ということになるのかもしれない。 しかし、この二つの語が持つ色合いはまったく異なる。 未来のある時点で何かが起きる。 その結果は悪く出るか良く出るかのいずれかだ。 結果が悪く出た後を…

業績評価と「管理可能性」

お客様の会社で業績評価について議論していると「管理可能性」の話題になることがよくある。「コントローラブル」かどうか、という言い方をすることもある。

本支店会計について-簿記と情報技術の視点から

簿記のテクニックのひとつに「本支店会計」というものがある。これは、会社がいくつかの支店や工場を持つ場合において、各支店(以下、工場を含む)がそれぞれ独立した帳簿を持つ制度である。 ==== 「独立した帳簿を持つ」というのは、本店と各支店のバラン…

エクストリームプログラミング(XP)

じつは私は、隠れエクストリームプログラミングファンである。「隠れ」というのは、なにせ一人会社の「社長」なもんで、ペアプログラミングすらしたことがないというなさけない環境条件によるものだ。

論点整理-会計システムと組織変更〔業務要件編〕

会計システムを構築する際、かならずといってよいほど組織変更への対応方法が話題にあがる。しかし、多くのプロジェクトでは通常業務への対応で手いっぱいになり、こうした付随的なテーマには十分な検討の手間を掛けられないのが実情である。そのため、組織…

分類集計コード

前回書いた「コード設計の話」でちょっとふれた「ロールアップコード」と「階層化コード」について補足しておきたい。両方とも細かい点を除けば同じ性格のものなので、ここでは「分類集計コード」と呼んでおく。

コード設計の話

今日は地味な話をしたい。といってもいつも地味な話だが。コードや区分の設計は良いシステムを設計するうえでとても大切である。設計にあたっては業務要件をみたすためにどんなコードや区分が必要かという視点が最初にくるのはもちろんだが、それ以外にも考…

提案書について注意していること

提案書を書くのはいつも難しい。何週間も前に依頼を受けても、ぐずぐずと色々考えて、仕上がるのはけっきょく期限前日の深夜になる。私の場合、だいたい会計システムの分野の仕事がほとんどなので、もうすこし学習して要領よくできないかと考えるがやはり結…